おおきく振りかぶって

一言で言えば、野球の面白さを教えてくれる本です。
野球といえば玉の投げあい打ち合いで、ときどき真中に集まってみんなでオホホの口になってごにょごにょとウゼーなあ、毎年どっかが優勝するに決まってるのに毎回番組つぶして夜中までビールかけやってキモいなあ、くらいにしか思ってませんでしたが、去年の最後のほうはドラマよりなにより野球中継番組が我が家のテレビを独占していました。そのくらいには意識がかわりました。

漫画は高校野球、ちょうど夏の大会の地区予選がはじまったところです。

なんだろ、「そっか、キャッチャーってかっこいいポジションなんだ!」だったよ。サッカーのGKと同じでデブがやるもんだくらいに思ってたから。サッカーはJリーグがはじまってサッカー見に行ってやっと「キーパーってポジションもかっこいいじゃん」と思ったんですが。

あと、女キャラが野球を好きなんだな。女キャラといえば男キャラを交配用オスとしか見てなかったり男キャラをライバル視したりパンツ見せ要員だったり主役キャラにあてがう賞品だったり、なんか使い捨てというかジャンクフード並の扱いだったりするけど、この漫画はそうでもない。軽く乳見せなところはあるけど。

普通スポーツマンガ読んでると男キャラのナルな自意識がウザくてウザくて反吐が出るもんだけど(俺ってかっこいいサー系)、そういうのがなかった。違う意味でウザいキャラはいるけど、あれはまあ私的には読んでて母の目になるのでよし。

登場人物たちの人間関係が、高校生という若さなりにもこまごまと描写されてあって面白いんです。今月号は、体格に恵まれた発展途上の5番バッター(キャプテン)が、天才子役みたいな4番バッターに思いがけなく信頼の言葉をもらって発奮してたよ。田島(4番)はね、かっこいいんだよ。まだ大成するかどうかわからないあたりがいいね。成長が遅れてるのか、もう止まっちゃってるのかわかんないけどね。ああいう、一瞬先は塵あくたな感じのキャラっていかにも天才だよなあ。三橋と同レベルに馬鹿な感じとか(馬鹿というか幼稚というか)、こういう子ってクラスにいたよなあ。中学だけど。
鬱にもギャグにもなり得そうな微妙なさじ加減が、すごくわくわくします。それぞれキャラクターをよく見れば可哀想な部分があったりするのだけど、妙に牧歌的だったりリアルだったり行き過ぎてたりして笑える部分でもあります。

ていうかこの試合勝つんかなー。勝つよな?どう展開を転ばせるんだろう。負けさせるのかな。どっちでも面白いからいいけど、勝ってほしいな。