宮沢賢治っぽい

しつこいかなーと思いつつ、id:Asayさん。

むしろ、ほかの組み合わせがあり得ると思われたあたりがなんか、ほのぼのというかニヤニヤというか、不思議な気分です。腐属性がない人が「やおい」を評するときは、その浅さゆえに全否定あるいは全肯定のどちらかにしか傾かないものだと決め付けていたところがあったので、おおまかに肯定をしつつピンポイントで否定っていう感覚を目の当たりにして、失礼ながらちょっとツボに入ってしまいました。

おお振りが受ける理由、個人的にはですが、今まで野球というと根性論を中核にして精神論でコーティングされているイメージがありました。とにかくタマ投げてタマ打って魔球があって「俺が勝つそれが全て」な。そこを、(おお振りが初めて、などとは言いませんが)インついてアウトついたらバッターは打てないとか、そもそもイン投げてすぐ後にアウトに正確になんて投げられないだとか、おんなじコースに見えても球速が違うとか、違うと打てないとか、キャッチャーって辛気臭いくらい頭良くないと強くなれないとか(性格悪くないと勤まらないサッカーのDFに近い感じ)、ショートってそんなに強い打球が来るんだ?とか、なんていうんだろう、情報がたくさん散りばめられてるとこかな、登れそうな山に見えてくるところかな。野球とは縁遠い生活をしていても興味が持てるような描き方でしょうかね。数式に近いのかもしれない。「野球って面白いのかもしれない」と思わせてくれるところじゃないかと思います。

あとは、キャラクターかな。三橋は卑屈だとありますけど、中島敦じゃないけど『臆病な自尊心と、尊大な羞恥心』みたいな、卑屈で居ながら傲慢な部分を併せ持つ主人公キャラというのがちょっと面白いです。阿部は腹黒い熱血屋で、毎度道化役になってておかしみが出てるし。
花井はまっすぐな感じですが、田島という天才肌の少年を前にしてさて挫折でもするのかそれともポジティブに田島の強さを学んでいくことにさせるのか、今後の展開が楽しみでもあります。繊細さが仄見えつつ少年らしい強さもある、ある意味一番の凡人キャラかもしれない。