並の女より女らしい女形

男の所作(女を真似た形)をさして「女より女らしい」と褒める文化がわからねえ。「女らしさ」の定義を決めたのが結局男だということになりゃしねえか。男の女らしさに対する理想形が、男が演じる女の姿にあるというだけではないか。宝塚の男役に「並みの男よりも男らしい姿」を見出すのと同じじゃねえか。

「男が」「女が」と分けて考えるのも馬鹿らしいとは思うが、たとえば男がやおい(BLも)に描かれる男キャラに対して「こんな男はいねえ」というのと同じように、男が描く商業マンガの女キャラもたいがい妄想過ぎて薄ら寒い気持ちでいるよ。男が描く男主人公マンガは登場人物の女が全部ご都合主義(見守るタイプ、性的商品価値のあるタイプ、こんな俺でも頼ってくれるタイプ、尽くすタイプなど)でできている。女が描く女主人公マンガもしかり(こんな私を好きになってくれるタイプ、面倒見てくれるタイプ、つれて歩くと羨望の的になるタイプ)。やおいマンガって結局、男主人公マンガや女主人公マンガをみんな男にして(同性見てるより異性見てるほうが楽しいから)話を焼き直しただけじゃねえのか?

私としては個人的には、ゆるぎない信頼をお互い抱いている関係が好きなので、そういう話だったら別にそれが男同士でも女同士でも男女間でもいいです。社会的に重要なポジションに立てるのは女よりも男だから、より重要なポジションに立つもの同士の信頼関係を描く話となったら必然的に男同士になるのかな。読んだこと無いけどね。ああ、踊る大走査線とか、それ系か。こういうのは肉体関係がまったく無いほうがエロティックでいいねえ。ひとつの目的に向かって、遠く離れても深い絆で結ばれている関係ってのがいいね。そういう、精神的な部分がないとやおいって読んだって面白くもなんともねえや。まあそのへんは人それぞれですが。
仕事上で強い絆を持つ女同士の話というのがあれば読んでみたいし、たとえばドラマになっても(視聴者は女性主体だと思うので)受けると思います。やおい好きな人の半分くらいはそうなんじゃないのかなと思うよ。「ぎゃー!かっこええー!」って叫ぶくらいの萌えドラマ(ないしマンガ)に出会いたいと思ってるし、単品でのかっこよさよりグループで競立つかっこよさを求めると思うし、それが女でも(そんなには)気にしないと思うよ。ってもまあ、女としては男に惹かれる人が大半だろうから、かっこいい女よりかっこいい男のほうがポイント高いとは思うけど(でもかっこよければ女でも男でもかまわないけど)。そう考えると単なる恋愛ドラマって退屈すぎてつまんねえんだよなー。